製造(開発)工程未経験で上流工程を担当している話
この記事の目次
はじめに
就職ITソリューション1課のM.Yです。
本記事では開発の実務経験がないまま上流工程の業務を担当することについての自分の考えを述べています。自分自身も(配属時から数えると)まだ3年も経験していない身で恐縮ですが、自分自身の振り返りも兼ねております。
なお、本記事についてはあくまで個人的な考えによるもので所属部署・PJの方針ではないことをご承知おきください。
想定読者
・新卒入社や異動などをきっかけに、開発経験がないまま上流工程を担当することになった方
・開発経験が浅い状態で、要求整理や要件定義、関係者との調整を担うことになった方
・開発経験はあるものの、上流工程を経験するのが初めての方
筆者の経歴
~2023年3月:学生時代情報工学を専攻
2023年4月:卒業後マイナビ新卒入社
2023年7月:現所属部署の前身となる部署に配属
2023年10月:デジ戦に部署ごと異動
現在に至る
担当業務
新卒就活サイト「マイナビ20XX」開発担当
・社内外の関係者との調整業務
・新規機能の要求整理・要件定義(要求定義書の作成など)
・基本設計レビュー
・企業専用画面デザイン制作ディレクション
・外部連携システムとのテスト進行や各種調整業務
..etc
開発実務経験がない新卒上流担当の置かれた状況
「開発実務経験がないまま上流工程を担当する」と聞いて、難しそうだと感じる方もいるかもしれません。
私自身も、配属当初は「本当に役割をこなせるのか」「内容を理解した上で要求・要件検討ができるのか」と不安を感じていました。
結論からというと「本人の努力次第でどうにかなりはするが、ハードルは高い」と言わざるを得ません。
まずは私自身がぶつかった、上流工程を担当するにあたってどういったハードルがあるのかについて述べたいと思います。
技術理解が浅い状態で要求・要件定義をしなければならない
インターンシップ等で就業経験のある方以外は、基本的に製造工程を経験しないまま現在の職務に就く形になり様々な壁にぶつかると思います。
私の場合、学生時代情報工学を専攻していましたし趣味でプログラムを書くくらいのことはしていましたが、実務レベルの技術理解がありませんでした。
実際に自分が困ったのは大きく下記の3つです。
- 技術選定の根拠となる前提知識や運用時の経験がないことにより、それらを想定した要求・要件検討が難しい
- テスト設計時や障害発生時に押さえるべき「勘所」がわからず適切なテスト設計ができない
- 「勘所」がつかめておらず障害発生時に原因特定までに時間がかかってしまう
当社の場合は開発ベンダーさんに委託していたり、内製チームの皆さんに技術面のプロセスをお任せする場面も多く、承認などは上長やPM層が担うことが多いです。
そうした環境に加え、自分の場合は業務手順がある程度整っていたことや、先輩方のサポートを受けられる環境だったため、今となっては実務の中で少しずつ理解を深めていくことができました。
しかし配属当時は、先輩方にサポートいただきながらも、製造工程を経験されている方と比べると明確に理解度に差がある状態で業務に臨む形となってしまっていました。
しかしながら要件定義時の際にはある一定の理解度は求められます。事業部門に内容を理解した上で提案・説明する必要があったり、ベンダーさんとの要件定義を進めていく際にも、その内容が非機能要件も含めて当社側の要求を満たしているか等を判断する必要があるため、理解度が不足していると業務遂行に支障が出ます。
また、障害発生時には実際に手を動かすのがベンダーさんや内製部門の方であっても最終的に上流担当が内容を理解した上で対処・報告などをする必要があるため、そういった観点でも少しずつで良いので担当システムでどういった技術が採用されているかやシステム構成など、最低限技術理解を深められるように努力する必要があります。
さらに精神的な面で言うと、開発経験を積んできたというバックボーンがないままベンダーさんや事業部の担当者の方と(見かけ上は)ある程度対等にやり取りしなければならないというところも地味にきついです。
配属された当時の自分の場合、会議中事業部の方に「〇〇って技術的に可能なんですか?」と質問された際に、たとえ技術的に正しい知識を持っていて回答できる状態にあったとしても確信を持てず、なんとか「△△という方法で可能です」と回答するという経験がよくありました。
もちろん上長のバックアップのもとで対応しているため、仮に自分の認識が不十分でもフォローしていただける環境ではありました。
ただ、当時は技術的な内容を自信を持って説明することに難しさを感じる場面も多く、周囲の支援を受けながら少しずつ伝え方や整理の仕方を身につけていきました。
あくまで私の経験ではありますが、ここまで述べたように新卒で上流工程を担当する以上、最初のうちはこうした場面を避けるのは難しいと思います。
ビジネススキルが身についていない状態での調整業務
どんな職種にも言えることではあるのですが、ビジネススキルが身についていない状態で社内外のステークホルダーとのやり取りをしないといけないため最初は大変だと思います。
案件によっては職位の高い方との会議のファシリテーションなど新卒目線では中々つらい業務もあったりします。
(相手方は優しく見守ってくれる方が大半なので実はそこまで気にしなくても良いかも)
この問題は新卒であれば誰しも経験することなので気にしすぎも良くないですが、問題はそんな状態で要件定義などが絡む会議に参加したり、メールやチケットでのやり取りを行う必要があるということです。
曲がりなりにもそのPJを担当するということは当然自分自身が矢面に立って相手とやり取りする場面も多くなります。特に社外の方とやり取りする場合はこちらが経験が浅いということは関係ない訳ですから、可能な限り適切なやり取りが求められます。
自分の場合は、ビジネス会話・文書のスキルが十分でない中、「伝えるべき内容」「やりとりする相手ごとに適した伝え方」などを考えながら話す・書く必要があったため最初は苦労した覚えがあります。
幸い私は会議などで矢面に立ちやり取りすること自体は緊張はほとんど感じないタイプでしたが、前述の経験不足からくる不安や失礼な物言いをしていないかというところで緊張してしまうこともしばしばありました。
どう乗り越えるべきか
ここまですごく脅すような文章を書いてしまって申し訳ないのですが、自分が乗り越えるためにしたことを共有したいと思います。人によって対処の仕方は異なるかもしれませんが、自分が実際にやってきたことをそのままお伝えします。
技術理解の浅さに対してのアプローチ
私の場合、所属部署には他社でさまざまな経験を積まれた方が多く、技術面ではそうした経験豊富な方々に相談しながら理解を深めてきました。ただ、わからないことを分からないままにはしないようにしています。
例えば、ベンダーさんとの会議で知らない単語が出てきたら裏で検索したり、後で資料を読んでみたりなどしています。また、配属当時は「会議中にわからない単語を10個以上はメモして後で調べるか質問する」といったこともしていました。
幸い自分は情報工学の基礎知識はあり調べればある程度の概念は理解できるため、今では要件検討や運用に最低限必要なレベルではそれほど困ってはいませんが、配属当時は右も左もわからずで、「何が分からないかも分からない」という状態だったので前述したように部署の先輩や上長に質問することで何とかついていくようにはしていました。
また、インシデント対応についても積極的に拾うようにしていました。
所属部署では専門の運用チームが存在するため、基本的にはその方々に検知も含め1次対応などをお任せしてしまうことが多いのですが、開発チームも全く対応しないということはなく検知した人が拾ってそのまま対応、または運用チームに引き継ぐといったこともそこそこあります。
特に自身が担当した改修や担当領域に関連するインシデントついては担当者が対応した方がスムーズですし、規模や影響が大きいインシデントの場合は担当など関係なく早期の対応が求められるためこのような形態になっているのですが、その方針に則る形で自分なりに成長できるような取り組みを行うようにしていました。
もちろん配属当初は「自分の担当」と言えるものはほとんどなかったですし、周りの方がインシデント対応されていても何をしているのかさっぱりだったのですが、その中でもできることとして、
- メールやチケットにて事業部などから問い合わせがあった場合に拾ってインシデント対応用の全体チャットに投げる(検知)
- 当該インシデントに関連する担当者が誰か調べてお繋ぎする(地味に重要)
- 先輩方が対応している間にたとえ役にたたなくとも自分なりに設計書などを参照し調査してみる
- 検知から対応までの流れを見て学習する
といったことを実践していました。
これにより、インシデント対応業務の理解が深まるのはもちろん、副次効果として「運用側の気持ち」や「仕様の把握」、「何が原因で障害が発生するのか」など、要件定義にもつながる知見を得ることができます。
(自分自身も最近やっとそれらが身になってきたかも…?と感じるくらいのレベルですが…)
ビジネススキル不足に対してのアプローチ
こちらについては正直上流担当かどうかはあまり関係ないのですが、社内外含めステークホルダーが多い環境でどのように乗り越えていったかも含めお伝えできればと思います。
前提として、事業会社側の上流担当はたいていの場合「事業部門の担当者の方」「ベンダーなどの委託先」「社内の内製部門の方々」とやり取りすることがほとんどです。
実際に私の場合、社内の人間以外とは事業会社側の担当者としてやり取りすることが多いです。
一方で、そうした環境では、経験が浅いうちは無知ゆえに相手との関係性や適切な距離感を十分に理解しきれないままやり取りしてしまうことで失礼な言動をしてしまっていないかを気にすることもありました。
ただ、そもそもきちんとした文章を書いたり相手に伝わる話し方ができないと、相手に失礼かどうか以前に上流工程担当としての業務進行に支障が出ます。もちろん言葉遣いなどは新卒研修などで学んだりしているため問題ないと思いますが、実務に入ってみると一般的なビジネスマナーの他にも覚えることはたくさんあり、相手によってコミュニケーションの方法を切り替えたり伝える内容を調整することを身に着けるなど中々研修だけでは学びきれないことも必要になってきます。
あるいはビジネス用語を知らないことで、会議で周りが何を言ってるのかわからないなんてことあったりします。
例えば私の場合、「トルツメ(取ってつめる)」という単語が分からず先輩に聞いたりしていました。(今思うと恥ずかしい)
こういった用語は今となっては当たり前に使うものですが、今思えばこういったビジネスシーンで多用される用語を研修で学んだりはしていなかったなと思います。しかも要件定義の場では「トルツメ」という用語はかなり出てくるため知らないとそこそこ困っていただろうことを考えると地味に重要かもしれません。
こういった状況で、文体が不自然で相手に伝わりづらい文章を書いてしまったり、喋り慣れていないために会議で発言に詰まったりしていましたが、その中で私が取り組んだこととしては、
- とにかく先輩方のコミュニケーション(文章・口頭問わず)を観察し、真似る
- 組織構造を理解し、どの組織が何を担っているのかを知っておく(特に事業部側)
- 分からない単語があれば調べてそれでもわからなければ恥ずかしがらずに周りに聞く(社内用語か一般用語かも確認する)
- 最初のうちは文章を書くにも、会議で喋るにもしっかりと準備をする(先輩への推敲依頼、会議の練習など)
- アサーティブコミュニケーションを学ぶ
といったことを実践していました。
とにかく真似る、質問する、準備することを念頭に置いて業務に臨むことで業務に必要な知識を得ることや仕事の型を学ぶことはもちろん、「先輩と同じやり方でやる」「質問して疑問点を無くす」「準備をしてコミュニケーションへの不安をなくす」ことで精神的にも健全な状態で業務に臨めたかなと思います。
ちなみに、アサーティブコミュニケーションとはどんな立場の人とも敬意を持ったうえで対等に接するためのコミュニケーション手法で、上流工程業務では特に重要なスキルだと個人的には考えています。
職務上様々な立場の方とやり取りすることが多く、社内外問わず職位の高い方やベテランの方など、若手からすると接し方が難しい方とも合意をとってPJを推進することが求められることもあります。
立場や経験の違いによって遠慮しすぎたり、逆に一方的な伝え方になってしまったりすると、業務遂行に支障が出ることもあります。だからこそ、相手を尊重しながら必要なことを適切に伝える力を身につけることは、とても大切だと思っています。
相手に伝わりやすい文章の書き方や話し方なども学ぶことができるので、そういった面でも非常に役に立つと思います。
まとめ
自分が配属当時に苦労した経験をもとに、同じような立場の方に少しでも参考になればとここまで書きましたがいかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したアプローチについては個別具体的な内容も含まれておりますが、一貫して重要だと私が考えるのは「分からないことはすぐに調べる・質問する」「先輩方のやり方を観察・真似をする」ということです。
自分だけで抱え込みすぎようとするとつらくなりますし、上手く行きづらいと思っています。自分なりにやってみることも大切ですが、まずは先輩方に色々聞いてみる、真似するということをやってみた上で自分なりに考えながら業務を進めてみると仕事の覚えも早いですし、課題解決もしやすいのかなと思います。自分も今回の記事を書くにあたって初心に帰って業務に向き合おうと思いました。(そもそもまだまだ若輩の身ですが…)
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。
※本記事は2026年07月時点の情報です。