テクノロジー
RIとSPについて、とっても簡単に比較してみた
はじめに
通常、EC2の料金形態はオンデマンド料金です。
長期契約無しで、時間または秒単位の従量課金制での支払いとなります。
EC2の料金形態は1種類だけなのか、というとそういうわけではありません。
オンデマンド料金に比べてEC2の利用料金を抑えられる
- Amazon EC2 リザーブドインスタンス(RI)
- Savings Plans(SP)
という2つのサービスがあります。
これらはある条件下のもとで一定期間の契約をするとEC2の利用料金のディスカウントを受けられるサービスです。
「RIかSPの導入を検討したいがよくわからないなあ。(詳しいことは置いておいて)簡単に言うとどういう違いがあるの?」と現状思ってしまっている自分向けに、今回はRIとSPを比較するうえで必要そうな情報をまとめてみました。
Amazon EC2 リザーブドインスタンス(RI)
RIとは
「一定期間の使用」を前提とすることで大幅にコスト削減が出来るサービスです。
1年もしくは3年の期間でキャパシティ予約が可能です。
※キャパシティ予約:任意のインスタンスタイプのEC2インスタンスを予約期間中は予約分いつでも起動が可能
非常に簡単にいうと、「1年間/3年間はこのインスタンスタイプのこのEC2を使い続けます。」と先に宣言することでお安くしてもらうサービスという理解でひとまずはよさそうです。
その際、さまざまな制約や条件によって割引率が変わるのでまたもや簡単にまとめてみます。
EC2の利用料金に関わるRIには2つのプランがあります。
スタンダードRI
オンデマンド料金からの平均割引率が1年 (40%)、3年 (60%)と割引率の高いタイプになります。
AZ、インスタンスサイズ、ネットワークタイプの変更が可能です。
ただし、インスタンスファミリーの変更ができません。また、支払いオプションの変更も不可能です。
※補足
インスタンスサイズの変更が可能というのは、キャパシティ予約した複数のRIを結合させたり分割させる事でインスタンスサイズの変更が可能です。
割引率が高いが制約が多いイメージです。
コンバーチブルRI
オンデマンド料金からの平均割引率は1年 (31%)、3年 (54%)となり、スタンダードRIと比べると割引率は低いタイプになります。
スタンダードRIと同じく、AZ、インスタンスサイズ、ネットワークタイプの変更が可能です。
加えて、インスタンスファミリーの変更も可能です。(ただしRI作成時の価格より同等以上のもののみ変更が可能であり、差額を支払う必要があります。)
また、制限ありで支払オプションの変更が可能です。
スタンダードに比べると割引率は低いが柔軟性が高いイメージです。
支払オプション
支払いパターンは以下から選ぶことができます。
- 全額前払い
- 一部前払い
- 前払い無し
割引率は全額前払い>一部前払い>前払い無しとなります。
注意点・確認点
- サーバ休止期間が長くとも費用は変わりません。
キャパシティ予約であり、一定期間継続してサーバの利用をするという前提での料金体系のためです。
サーバ停止せず動き続けるサービスでしたらRIの条件にあうかと思われます。
サーバ夜間停止などをするサービスの場合は、試算を行いオンデマンド料金との比較を行なったうえで検討する必要があるかと思います。
- インスタンスのスペックなどがアゲサゲしにくいのでAWSの特性を活かしにくいです。
開発環境などのサーバ要件を変更させる可能性がある環境ではRIは適していない可能性があります。
Savings Plans(SP)
SPとは
「一定期間、一定量の使用」を前提とすることで大幅にコスト削減が出来るサービスです。
SPでは1年もしくは3年の期間で特定量(USD/時間)を契約することが可能です。
非常に簡単にいうと「一定期間、1時間に何ドル分AWSを使います」と宣言して契約することで、その額までは割引が効いた利用料にしてくれるサービスという理解でひとまず良さそうです。
EC2の利用料金に関わるSPには2つのプランがあるので、またもや簡単にまとめていきます。
Compute Savings Plans
オンデマンド料金からの平均割引率が1年 (約30%)、3年 (約50%)と割引率の高いプランになります。
インスタンスファミリー、サイズ、アベイラビリティーゾーン、リージョン、OS、またはテナンシーに関わらず EC2 インスタンスの使用に自動で適用がされます。
EC2だけでなく、Fargate や Lambdaにも適応が可能です。
比較的自由度高く、インスタンスを低価格で利用出来るプランとなっているイメージです。
EC2 Instance Savings Plans
オンデマンド料金からの平均割引率が1年 (約40%)、3年 (約60%)となり、Compute Savings Plansと比べると割引率の高いプランになります。
リージョン内で個々のインスタンスファミリーでの契約となり、任意のリージョン内での任意のインスタンスファミリーは自動的にディスカウントが適応されます。
この際、アベイラビリティーゾーン、サイズ、OS、またはテナンシーは自由です。
リージョンとインスタンスファミリーに制約はあるが、Compute Savings Plansより更に割引率高く利用できるプラン
となっているイメージです。
支払オプション
支払いパターンは以下から選ぶことができます。
- 全額前払い
- 一部前払い
- 前払い無し
割引率は全額前払い>一部前払い>前払い無しとなります。
注意点・確認点
- 契約時、自身で適切な特定量(USD/時間)を計算する必要があります。
- 契約した特定量(USD/時間)を超過した場合、超過分はオンデマンド料金にて発生します。
- SP運用中は特定量の変更が出来ないため、適切な金額にて契約する必要がありそうです。
- 特定量(USD/時間)での契約のため、ディスカウント対象となるリソースの柔軟性は高いです。
さいごに
RIにもSPにも制約があります。
条件と割引率を天秤にかけながらの検討が必要そうです。
おまけ
RI、SPは1年/3年と契約期間が長く、気づいたら有効期限切れとなってしまっている場合がありそうだなと思ったのですが、どうやらアラートの利用が可能のようです。
60 日前、30 日前、7 日前、当日にアラートを受け取れる設定ができるとのことなので活用していきたいと思います。
参考
https://aws.amazon.com/jp/ec2/pricing/reserved-instances/
https://aws.amazon.com/jp/savingsplans/
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2019/05/reservation-expiration-alerts-now-available-in-aws-cost-explorer/
おまけ2
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※本記事は2022年08月時点の内容です。