Claude Codeで仕様設計は爆速になったけど、結局、調整に時間がかかる問題をどうするのか
この記事の目次
Claude Codeで仕様書を書くようになって、初稿の作成時間は劇的に短くなりました。
しかしながら、運用してみると、リリースまでのリードタイム全体はほとんど変わっていないことに気づきました。
今回は、「初稿は速くなったのにリードタイムが減らない」現象がなぜ起きるのか、自分の現場での観察をもとに整理してみます。
体感は爆速、でも実は遅い
正直、具体値を測っているわけではないんですが、
「仕様作成までは、爆速でおわる、仕様調整に時間がかかる」
といった実感があります。
↓イメージ

「AIで爆速になった!」という体感はあるんですが、それは初稿フェーズの話だけだったんですよね。
AIの品質はこれからも上がっていくと思いますが、それは初稿フェーズをさらに効率化するだけ。合意形成フェーズに手を入れない限りリードタイム全体は変わりません。むしろ初稿が速くなるほど、合意形成の比重がボトルネックとして目立ってきます。
原因は2つあった
リードタイムが減らない理由は、2つに整理できました。
① 意思決定が二重に走るフロー構造
レビューの意思決定が二重化されていて、両方の合意を取らないと前に進めない、というやつです。
(大き目の企業あるあるですね)
多くの組織で同じはずで、純粋なエンジニアリングの速さでは削れない領域なので、今回は深追いしません。
できる限り、フィードバックから修正のループを回すことを主題として話します
② レビューフォーマットの不一致 ← 今回の本題のため大切
これが地味だけど致命的でした。
- AIが書くフォーマット = Markdow(git差分が取れて、Claude Codeが直接編集できる、AI親和的)
- 既存の意思決定フォーマット = Excel(AIが直接触れない、非AI親和的)
このフォーマットの違いが、二重構造をボトルネックに変えてしまっていました。
「最初のレビューはMarkdownで完結できるはず」なのに...
初期レビューだけならMarkdownで完結できるはず、それなのに、なぜか毎回Excelに変換している運用が多い。
なぜか。答えはシンプルで、下流のレビューフォーマットがExcelで固定されているからです。どうせ最終的にExcel化するなら最初から変換しよう、という運用が定着してしまっているんじゃないかと思います...
つまり、エクセルに変換することが前提になっていること自体が、上流のAI親和性まで殺している構造でした。下流のフォーマットが、上流のワークフロー全体を規定してしまっています。
問題は、ワークフローの設計 そのものにあります。
症状:Excel への片方向変換問題
このフォーマット不一致が具体的に何を引き起こすか。
「片方向変換問題のつらみ」とこの記事の中では定義しましょうか。
↓ Markdown → Excel 片方向変換問題のつらみ

流れはこんな感じです。
- Claude Codeで仕様書をMarkdownで書く
- 下流に渡すために、Excelに変換する
- Excel上で内部レビューも下流レビューも全部やる
- Excel上で手書きで修正する
- 気がつくと、Excelが事実上の最新版になっている
問題は、Excel上の手動修正をMarkdownに戻す方法がない(あるいは超面倒)ということ。セルに書き込まれたメモを、関連セルとの整合性を取りながら構造化されたMarkdownに反映するなんて、やってられません...
結果として、改修ループからAIが外れます。せっかくClaude Codeで書いたmdは古いまま放置されて、次の改修サイクルも結局Excel上で手動でやることに。
つまり、AIで初稿を作るメリットが 「初稿の1回しか効かない」構造になってしまっていたんですね。これがリードタイムを減らせない本当の理由でした。
↓ 合意形成の時間は変わってない,,,

理想のループを定義してみる
じゃあどうあるべきか。理想のループを定義してみます。
↓ AIもレビュアーも1つループに納めたい

4ステップで完結する形です。
- AIで生成・修正する:Claude CodeでMarkdownのまま書く
- レビュアーにシームレスに共有する:Excelに変換せず、Markdownのまま読める形で
- レビュアーがコメントを返す:理想は直接編集も可能
- AIがコメントを取り込んで反映する:Markdownの上で完結する
そして1に戻る、というループです。
ここで決定的に大事なのは、正本はずっとMarkdown(git)であり続けるということ。図のとおり、一度もExcelに転記しません。
この前提が崩れた瞬間に、さっきの「片方向変換問題」に戻ってしまいます。Markdownを正本として保ち続けることが、AI改修ループを生かすための必要条件です。

「これって理想論じゃないですか?」と思う方もいるかもしれませんが、実装手段はこのあと詳細を詰めていきます。
ループを実現する3つの優先度
理想のループを実現するための要件を、3つの優先度に分解してみました。
優先度1:Markdownに寄せる
これは譲れない最初の制約です。
Claude Code(AIエージェント)が直接触れる形式じゃないと、改修ループにAIを組み込めない。
逆にこれさえ満たせれば、ツールは後から選び直せます。
これを諦めると「初稿だけAI、残り全部手動」の現状から抜け出せないので、これが一番重要です。
優先度2:レビュアーにシームレスに共有 + コメントしてもらう
これを満たさないと、共有のたびにExcel化が発生してしまいます。
機能要件はざっくり3つ。
- MarkdownとMermaid図がきれいに表示できる
- ページ単位 or ブロック単位でコメントできる
- 理想的にはインラインコメント(行単位の指摘)も可能
ここが本記事の本丸です。
実現方法としては、
- 表示だけなら、静的サイトジェネレータでいけますね。Docusaurusを使えば見た目も整います。
- コメント機能は、BackLogのAPIやMCPで自動で転記して、そこでフィードバックしてもらうことがいいでしょうか。
※社内のセキュリティー上、IPを制限した上で、社内公開する必要や特定のSassに頼らないといけないこともあるはず
優先度3:レビュアー側が直接編集できる
これが一番難しい優先度です。コメントを返してもらうだけでなく、軽い文言修正はレビュアー側で直接やってもらいたい、というケース。
満たそうとすると、双方向 git sync (自動同期) ができる仕組みが必要になります。Web UIで編集 → 自動でgitに反映、という流れ。
具体的にはGitBook級の有料ドキュメント管理ツールが該当します。企業単位で導入すると、月額数百ドル規模の大きさにはなってしまいますが...( https://www.gitbook.com/ )
全部満たさなくていい
ここで大事なのは、3つを全部満たさなくていいということ。
- 1(マークダウン正本)だけで十分 → 今のGitHubで終わる(無料)
- 2(共有とコメント)まで必要 → 静的サイト + BackLog等に手動アップロード(低コスト)
- 3(双方向修正と同期)まで必要 → 有料の専用ツール(要投資)
組織の現状と必要度に応じて、どこまで満たすかを決めればOKです。すべての組織が3を目指す必要はないと思っています。
問題解決のための個人的結論
2までを綺麗に再現するとなっても、
GitHubのシームレスな連携 + コメント機能 + アクセス制限 の機能を持ったサービスはなさそうでした…
唯一対応できる、gitbookはめちゃくちゃ高いです…
(小規模のチームでも、全員に権限を付与するとなると、年に数十万はかかりそうでした...)
それなら実装してしまえばよいのではないか、といった気持ちにはなっています。
以前であれば、これだけでお金をとれるようなサービスだったかと思いますが、このくらいの要件ならギリギリ内製できそうですかね

まとめ
今回伝えたかったこととしては、2点です。
① ツールが現在のAIを組み込んだフローに対応できているのかを考える
現状、意思決定フローにおいて、AIの良さがなくなっている可能性があります。
あらためて、現在のプロジェクトの意思決定構造や、設計フローを見直す必要があると考えています。
また、理想を定義した上で、社内で使えるならどの課題まで改善するか、ということをあらためて考えてみると面白いかもしれません。
② 最も守るべきは「正本がMarkdownであり続けること」
これさえ守れれば、ツールはいつでも乗り換えられます。逆にこれを諦めると、AI改修ループが切れて、初稿の速さしか享受できない世界線に戻ります。
そしてMarkdown正本化は、レビュアー側にとっても「最新版がどれか分からない」「Excelに散らばったコメントを追えない」みたいな問題が消えるので、関係者全員にとってメリットのある話だと思っています。
AI時代のドキュメント問題は、ツール選定の話ではなく、正本のフォーマットをどう守るか、今の組織の中で、開発フローをどう設計するかを根本的に考えなすことが大切だと思いました。
※本記事は2026年06月時点の情報です。