テクノロジー
ラスベガスにてAWS re:InventのKeynoteに現地参加してきました!!!
はじめに
こんにちは!
株式会社マイナビで内製開発チームに所属している A.K です
アメリカのラスベガスで開催されたAWS:reInvent 2023に参加してきました
今回はイベントの目玉であるKeynoteに現地参加してきましたのでそのことについて記事を書こうと思います
今回参加したkeynoteはAWSのCEOのAdam Selipskyさんの基調講演になります
本記事はKeynoteのまとめというよりは現地で感じたことなどをメインに書いていこうと思います!
次回参加者の参考になればとても嬉しいです!
re:Invent とは
AWS re:Inventとは米国ラスベガスで開催されるAWSイベントです
AWSのサービスに関連したセッションに参加したり、Expoで最新の技術に触れたり…様々な体験をすることができます
今年は11/27~12/1の期間で開催でした
詳しくは公式サイトを確認ください
Keynoteとは
KeynoteとはAWSの新サービス、新機能の発表会です
単に新サービスを発表するだけでなく、AWSの考え方や思想なども交えて説明されるので聞いていてとても勉強になります
今回、現地参加したAdam SelipskyさんのKeynoteでは下記の発表がされました
- Amazon S3 Express One Zoneの発表
- AWS Graviton 4 / EC2 R8gインスタンスの発表
- AWS Trainium 2の発表
- BedRock関連のアップデート
- Amazon Qの発表 etc..
このようにAWSに関わる新しいアップデートの発表がKeynoteではされます
KeynoteはYoutubeでも視聴可能ですので興味のある方はぜひ見てみてください
AWS re:Invent 2023 - CEO Keynote with Adam Selipsky
会場の様子
講演は朝8時ごろから開始でした
Keynoteは初日を除いて朝早くから行われます
今回参加したKeynoteは二日目の朝に開催されるKeynoteでした
前日はre:Invent初日ということもあり、体力が尽きるまでセッションをまわったりExpoで話を聞いたので、朝早くからのKeynoteは体力的にも眠気的にもなかなかのしんどさがありました
ただ一回は必ずKeynoteに現地参加したいなと思っていたので会場へ向かうことにしました
会場はre:InventのExpoなどがあるメイン会場です
会場のホテルに向かうとAsk Me!のTシャツを着たAWSのスタッフの方が元気よく「keynoteはこちら!」という感じで案内しているので迷うことはありません
私は会場へは数十分前には着いたのですが9割方の席は埋まっていました
会場がオープンすると同時に行った人に聞いたところその時点ですでに多くの人が並んでいたようです
前のいい席で見たい人は早めにいくといいかもしれません
また、講演が終わり会場を出る際に気づいたのですが会場の入り口付近に同時翻訳機がおいてありました
Keynote開始
現地で見る導入の映像演出は迫力がありました
「AWS、今年は何をみせてくれるんだろう」という気持ちにさせてくれるようなスタートで、単なるITのイベントではなく最大規模のイベントAWS re:Inventにいるんだということを再認識させてくれます
しばらくするとAdam Selipskyさんがでてきて講演がはじまりました
今回のre:Inventは5万人も参加しているみたいです
世界各国から5万人も集まっていると聞くとその規模に驚きます
「re:Inventは学習イベント」だということを強調されていました
re:Inventは数多くのセッションやExpoの参加企業から様々な気づきや学びを得ることができる最高の場所で、かつ多くの関連企業やAWSコミュニティとつながりをもつことができます
現地でしか感じ取れないAWSに対する情熱や温度感をダイレクトに受け取れるのがre:Inventの最大の醍醐味です
講演でも話されていましたが世界各国から多国籍、他業界の人が訪れるので様々な課題やユースケースがあり色々な話を聞くことができます
私はweb業界で国内との関わりが多いのですが、re:Inventを通してゲーム業界の方や、日本以外の各国の企業の様々なロールの人とお話をすることができました
普段はwebアプリの開発をおこなっていますが、その中で自分が躓いていたりすることが他企業でもおこっていたり、普段実装しないようなサービスのユースケースの話をお互いの考えを交えながらできたりと、このようなことができる場はなかなかないと思います
AWSは様々な企業と協力していて金融業界、ヘルスケア業界など様々な業界がAWSを利用しています
例えばSalesforce社があげられており、Salesforce社のCRMに特化したAIのSalesforce EinsteinとBedrockで使って生成AIアプリをすぐにデプロイできるようになったりするそうです
re:Invent参加前はAWSはひとつのITツールぐらいの認識でいましたが、多くサービスがAWS上で動いており様々な業界や企業にとってなくてはならない存在になっており、AWSは本当の意味でインフラであることを知りました
re:Inventは日本語訳で「再構築する」という意味です
これはAWSのDNAに組み込まれています
スライドに「Access to the same powerful technology」という標語が使われておりAWSの考え方がダイレクトに理解できました
新サービス発表
reinventing storage with Amazon S3
S3は最初2006年に発表されたらしいです
AWSについての歴史はあまり知らず思ったより昔で意外でした
そしてIntelligent-tieringは今までに20億ドルの節約をしているみたいです
とんでもない金額ですね
ストレージというお金をかけたくないけど重要な部分がゆえに力が入っているのを感じました
ここでS3の新機能発表がされました
Amazon S3 express One Zone
このS3は高性能分析のワークロード向けのS3になります
気になった特徴は下記の点です
- S3標準ストレージより最大10倍高速
- 一分当たり数百万件のリクエストに対応しコストも最大60%節約
One Zoneなので単一AZとなります
機械学習関連やリアルタイム広告配信など、ここぞという場で使いそうな場は多そうです
詳しくは公式サイトでも説明されていますので是非読んでみてください
Reinventing General Purpose Computing
パフォーマンスとコストを考える中でGravitonの説明もされました
GravitonはEC2インスタンスで使用されるAWSによって開発されたカスタムARMベースのプロセッサです
今回のre:Inventでは新しくAWS Graviton4が発表されました
AWS Graviton4
Graviton4は以下のようなポイントがあります
- Graviton3より平均30%高速
- データベースアプリケーションで40%高速に
- Javaアプリケーションで45%高速に
特定のワークロードに対してとても活躍しそうです
Javaは採用している企業も多いと思うので影響範囲は大きそうです
わずか5年でGraviton4に進化しているとのことで驚きです
Graviton4に関連してR8g Instances for EC2 Powered by AWS Graviton4も新しく発表されました
Reinventing with Generative AI
AWSはAIをAmazon全体のサプライチェーンの最適化や小売検索機能の向上など多くの場面で活用してきました
AWSはgenAIを現在のAI技術の次のステップとして位置づけています
genAIを3つの階層に分けての説明がされました
- 最下層はFmモデルなどの層
- 中間層はLLM棟のモデルで生成AIアプリを構築、拡張するための層
- 最上層は専門知識がなくてもすぐに生成AIを使用できるような層
Fmモデルなどの最下層
最下層のワークロードでは大きな計算能力を必要とし、GPUがそれを可能にします
AWSはNVIDIA社と協力してGPUをクラウドでつかえるようにしてきました
今回のKeyonteではNVIDIA社のCEOのJensen Huangさんが講演にきました
このように世界的な企業のCEOをお話を聞けるのはre:inventならではです
ここではNVIDIAとAWSが共同でNVIDIA DGXクラウドのAWSに導入するなど新たに様々なことを発表していました
AWS内で完結せずに他の企業と共同で技術が進化しています
この後にもNVIDA社以外にもがファイザー社など様々な企業の方が何人か講演されていました
AWS Trainium2
AWS Trainiumは機械学習モデルをトレーニングするための専用チップです
今回その第二世代であるAWS Trainium2が発表されました
特徴としては下記です
- 第一世代より4倍はやい
- 数千億、数兆のパラメータを持つ基礎モデルのトレーニングに最適
- 65エクサフロップスの非常に高速な計算能力な性能
自分は普段機械学習系をメインで扱っていないので詳しくないですが、それぞれの単語のインパクトが強くgenAI界隈は進化が早いことを感じます
生成AIアプリを構築、拡張するための中間層
多くの企業はモデルを構築するというよりは既存の優れたモデルを利用してサービスに価値を付加していくことが多いでしょう
実際に開発する中で数多くある優れたモデルからどのモデルを選べばいいのか、どうやって迅速に構築デプロイができるのかなどの課題があると思います
そんな課題を解決していくのが中間層になります
Amazon Bedrock
Amazon Bedrockについて紹介されていました
Amazon Bedrockは、Amazonなどが出している高性能な基盤モデル (FM) を単一のAPI で選択できるフルマネージド型サービスです
私は触ったことがありませんが生成AIアプリの構築が楽になり幅が増えそうなので興味をもちました
生成AIアプリの構築を考えるうえで選択肢の一つとなりそうです
9月に一般提供されたばかりですが、すでに10000を超える企業がBedrockを採用していてスピードがとても速いです
実世界ではすべての事象に対応した完璧なモデルがないため、AWSはAmazon独自のモデルだけを利用してもらうのではなく、様々な企業のモデルを使えるように幅広い選択肢を持たせているようです
このような発想からAWSの思想を感じることができます
また、Fmモデルの提供しているAnthropic社のDario Amodeiさんの公開対話のなかで
ハルシネーションにも触れられており、これからの生成AIの安全性についての話は興味深かったです
Bedrockでもいくつか新機能が追加されました
- Fine tuning Cohere Command Lite, Meta Llama2, Amazan TItan Text Lite & Express,Anthropic Claude
- Retrieval Augmented Generation (RAG) )with Knowledge Bases
- Continued Pre-training for Amazon Titan Text Lite & Express
- Agents for Amazon Bedrock
- Guardrails for Amazon Bedrock
2つ目と5つ目が個人的に興味深いものでした
2つ目は既存のFmで社内のデータベースに安全に接続でき、ドメインにより関連した検索が可能になることから検索サービスやドキュメントサービス周りで活躍しそうです
既存のモデルを基に社内データベースでデータで拡張できるのはとても便利です
5つ目は責任あるAIポリシーに基づいてフィルタリングを書けることができるものです
それ以外にも個人情報(PII)の削除等もできます
近年責任あるAIが重要視されていますがその部分のサポートになります
この部分は企業がサービスを提供する上で敏感にならざるをえない部分なのでこのようなサポートはありがたく、ますますビジネスでの活用が増えそうです
AWSの学習について
話の途中でAWSの学習についても触れられました
AWSはAWSCloud InstituteやAI Readyなどの学習リソースの提供や機械学習関連の奨学基金の創設などを行っています
また2025年までに2900万人がクラウドコンピューティングを無料で学べるように取り組んでおり現時点で2100万人です
普段仕事をしていると感じませんが世界中のとても多くの人がクラウドコンピューティングを学習しているのを実感しました
専門知識がなくてもすぐに生成AIを使用できるような最上層
例えば代表的なサービスはAmazon CodeWhispererです
私は普段Webアプリ開発をおこなうことが多いのでこの層のサービスを扱うことが多そうです
しかし、多くのAIチャットアプリは会社の内部情報をもっていませんし、その利用も禁止されている場合が多いです
そんな中で今回のKeynoteで一番の目玉であるAmazon Qが発表されました
Amazon Q
Amazon Qは仕事でつかえるAIチャットアシスタントです
まず、Amazon QはAWS上での技術的な構築をサポートします
主に下記のようなことができます
- Amazon Qにインフラ構成を聞きながらデプロイ
- 作りたいアプリのユースケースに合わせたAWSサービスの選択
- トラブルシューティング
- フレームワークのアップグレードや非推奨のコードの置き換え etc...
特に私がいいなと思った点はトラブルシューチングもボタン一つでおこなえる点です
AWSコンソール上で作業を行う場合うっかりとしたミスが発生してしまうこともありますがひとつひとつ確認する手間が減ります
コード変換に関しては必要な作業だけれどもなにか新しい価値を生み出すわけではないのであまりやりたくない作業ですが、この部分をやってくれるのはとても大きいと思います
実際の例としては2日間でJavaのアプリを1000個アップグレードしたと紹介されていましたがとても信じられません
Amazon Qの恩恵をうけるのは開発者のみではありません
次に開発者以外の職種の方々も活用することができます
Amazon QはGoogle DriveやSlackなどよく使われる40のデータソースとつながり、学習をします
しかもこれはセキュアでプライベートに行うことができます
デモではAmazon Quicksight上でビジネス上のデータについてAmazon Qへ質問をして回答を得ることをしていました
今までのグラフを作ったりデータを読み取ったりなどの作業は、基本的にAmazon Qに対して「○○について棒グラフをだして」や「○○の月次レポートを出して来月の推奨事項を作成して」などの自然言語で作業をすることができます
またAmazon QはAmazon Connectで使えます
通話にAmazon Qが参加することも可能で応答をしたり関連記事のリンクを提供したりできます
そして、通話後もその概要を自動で作成してくれます
自社のデータをにアクセスできてAIチャットをビジネスで使えるというAmazon Qは仕事の在り方を変えるようなサービスで驚かされました
データ活用
Amazon RedshiftでZero-ETL integrationsがAurora Mysqlに加えて下記三つがつかえるようにすることが発表されました
- Amazon Aurora PostgreSQL
- Amazon RDS for MySQL
- Amazon DynamoDB
ETL は、extract(抽出)、transform(変換)、load(読み込み)の略で今回の発表で上三つのデータbaseに対してもこのパイプラインの作成がゼロになり,これによりリアルタイムな分析が可能になります
そしてAmazon OpenSearch ServiceでもZero-ETL integrationsがDynamoDBで利用可能になることが発表されました
DynamoDBに対してOpensearchで検索できるのはかなり便利に感じます
上記以外にもAmazon DataZone AI recommendationsが発表されました
Amazon Project Kuiper
Kuiperは衛星通信サービスです
インターネット通信が安定的でない場所にも届くようにする取り組みをAmazonは行っています
詳しくはこちらを確認してみてください
今回はパブリックのインターネット接続に加えてエンタープライズ向けのプライベート接続を発表しました
おわりに
読んでいただきありがとうございました
今回Keynoteに現地参加してきました
現地では新しいサービスが発表されると歓声や拍手があがりその熱量に驚かされます
発表された新サービスに関連して新しくセッションが開かれるので興味があるサービスの場合は該当のセッションで内容を深めることもできます
Keynoteの内容とともに現地の熱量に影響をうけ自身のAWSに対するモチベーションをあがりました
今後もAWSを頑張っていこうという気持ちになりました
みなさんもre:Inventに訪れた際はぜひkeynoteに現地参加してみてください
※本記事は2023年12月時点の内容です。