【Cloud Next '25】出張レポート

この記事の目次
初めに
2025/4/9から4/11(現地時間)にかけて、Google Cloud Next 25がラスベガスにて開催されました!
マイナビからは、企画、データサイエンティスト、エンジニア、マーケターの4名が現地に向かい、参加してきました。

本記事では、Cloud Next 25のイベントの概要や、面白かった内容について、レポート形式でご紹介いたします。
概要編:Cloud Next 25ってどんなイベント?
Cloud Nextとは、Google Cloudによって主催される、おもにGoogle Cloudについてのテックカンファレンスです。
毎年、KeyNoteセッションで、GoogleCloudの新しいプロダクトや、新しいコンピューティング技術などが発表されます。KeyNoteが世界で初めてその内容を知ることができる場所であり、毎年異様な盛り上がりを見せます。
KeyNote以外には、Google Cloudを利用している企業から、利用事例についてのプレゼンテーションであるBreakout Sessionや、Google Cloudの技術ノウハウをライトに共有する場であるLightning Talk、Cloud Skills Boostの体験や、デモを実際にさわりながらGoogle Cloudを学ぶことができるハンズオンのコーナー、ほかの参加者と交流ができるMeetup、実際にGoogler(Google社員)やGoogle Cloudのカスタマー企業にデモを見せてもらいながら、ノウハウを教えてもらったり技術交流ができるExpoがありました。
会場
会場となったMandalay Bayのコンベンションセンターですが、とにかく大きな会場でした。
1日中あちこちでセッションを聞いていると、気づいたら4万歩ぐらい歩いていました。
参加レポート
KeyNote

会場に入ると、そこはライブ会場のよう。
基調講演の前には、VeoVJによるパフォーマンスで出迎えてくれました。
Veoによって生成された映像を、曲に合わせて選択して流してくれるAI、ということでしょうか。
Veo を使ったメディア制作のデモをKeyNote中で実施してくれています。
→ https://www.youtube.com/live/Md4Fs-Zc3tg?si=qDTeEgSNU2cG8Q9o&t=1996
セッションの具体的な内容については、すでに様々なブログで触れられているのですが、主な内容としては
- 動画生成AI「Veo 2」、作曲AI「Lyria」の公開
- 新TPU「Ironwood」
- Agentspace
- データエージェント
このあたりのアップデートがとても大きかったと思います。
内容について少し触れます。
Veo 2
Veo 2は、Google DeepMind社によって開発された、動画生成AIです。
Next以前からVeoに関する発表は2024/11月にあったのですが、この日をもってGAとなり、Vertex AI Media Studioから利用できるようになりました。
映像生成については、DeepMind社の公式サイトからプロンプトと生成された映像のサンプルを確認できます。
https://deepmind.google/technologies/veo/veo-2/
中でもすごいと思ったのは、2枚の写真を用意すると、その間を補間するように映像を生成する、というものでした。
(参考動画)
これはすごいですね!映像編集の幅が広がりそうです。

Lyria
こちらもDeepMind社の開発した音楽生成AIです。
プロンプトを入力すると、30秒ほどの音楽が生成されます。
なんとボーカルも入れられるそうです。
公式サイトから、プロンプトとそれによって生成された音楽が視聴可能です。
https://deepmind.google/technologies/lyria/
もはや人の作ったものと区別がつかなくなってきていますね・・・!
なお、前述のVeoや、音声合成AIのChirp 3、画像生成AIのImagen 3と合わせて、Vertex AI Media Studioというプロダクトから利用可能となっています。
Google I/Oでさらに上位モデルが登場
これらのマルチモーダル生成AIのうち、Veo, Imagen, Lyriaに関しては、すでに新しいバージョンのモデルが発表されています。
- Veo 3
- Imagen 4
- Lyria 2
Next 25の開催からなんとたった1か月後にこれらのアナウンス。。AIの進展の速さを肌身で感じます。
参考記事⇒ Google Cloud 公式ブログ
Ironwood
Ironwoodは、Google社によって開発中の第7世代TPUの名称で、
2025年末にはリリースされる予定とのことでした。

これは初代のTPUと比べて3600倍のパフォーマンス向上です。
ひとつ前のモデルと比べても900倍近く向上しています。
これは劇的な進化ですね。

KeyNoteでIronwoodに触れられているシーンはこちらです。
Agentspace
Agentspaceは、自社で利用しているオフィススイート(MS OfficeやGoogle Workspace, Salesforceなど)のツールと結合可能なAIエージェントのインタフェースです。
AIエージェントは、Googleが提供するもの以外にも自社内で作成され共有されたものも、Agentspaceから利用できます。

自社組織の意思決定の内容について、SharePointやGoogleDriveにある資料を探すのは大変だと思いますが、
Agentspaceで質問すると、SharepointやGoogleDriveに散乱する資料の中から情報を抽出してユーザーに回答してくれます。
生成された回答の内容のもととなった資料も示してくれます。

デモの中では、リクエストの内容によって、エンタープライズデータ、時系列予測モデル、音声合成、メール送信など多くのツールを利用していますが、すべてAgentspace経由で、1行もコードを書いていません。
Agentspaceを使ったデモンストレーションのシーンはこちらになります。
メールや要約内容については、妥当性を自分で確認する必要はありますが、ノーコードで多くのエージェントツールにアクセスできるようになり、文面作成など多くの手間のかかるシーンで活躍することが期待できます。
データエージェント
データクレンジングやインサイト抽出がGeminiによって強化された「Data Agent」の紹介です。
これまでは、まずBigQueryにデータを定期的に連携し、扱いやすい形(データマート)に変換し、
抽出したいインサイトを得るためのクエリをガシガシと書いて、実行していたと思います。
この作業で大変なことは、まず複数のデータソースに散らばっているデータを結合やクレンジングし、分析に使用できる状態にするところ。
ここで活躍するのが「Data Engineering Agent」で、プロンプトベースでデータ処理パイプライン構築していくことができます。

編集中のパイプラインの結果を逐一確認しながら構築を進めていくことができます。

日付の表記もばらばらになっていますが、動画を見るとこの名寄せに関しても直してくれています。これはありがたいですね。
使っているプロダクトとしては少し前からGAになっていた「BigQuery パイプライン」というものなのですが、その構築をGeminiが支援してくれるというものですね。
また、インサイト抽出に関しても、プロンプトでどんなインサイトを抽出したいかをリクエストすると、Geminiがクエリの生成とクエリの実行をしてくれます。
クエリの内容は、カラム名などのメタ情報から生成しているようでした。

実際は、クエリの内容や可視化内容が正しいことに関しては、分析者が最終的にレビューをする必要がありますが、
クエリを作成する時間がこれによって大きく節約できることや、クエリを書くことへの技術的ハードルが大きく下げられることが期待できます。
Data Agentの紹介シーンはこちらです。
Expo
Expoでは、KeyNoteで発表のあった新しいサービスのデモを、実際にGoogle社員の方に実演してもらったり直接質問ができるコーナーがありました。

デモのご紹介: GeminiとVertex AI Searchによるマルチモーダル検索
スマホで部屋の写真を撮って、「この部屋に合う家具を探して」という検索方法であったり、もちろん音声検索も対応。
1回検索を実行した後、元のクエリから拡張されたクエリで再検索し、そのアイテムも表示する、ということもやっていました。

こちらはYouTubeでデモ映像が公開されていました。
https://youtu.be/LwHPYyw7u6U?si=vOtgUrk9yK_F4Uqf
Meetup
Cloud Nextの楽しみ方の一つとして、ほかのエンジニアの交流があります。
そのひとつが Meetup というもので、Cloud RunやVertex AIなどのプロダクトについてのものであったり、Platform EngineeringやObservabilityなど、ホットなトピックについてエンジニアが熱い意見を交わすというもの。
非常に貴重な経験でした。
全体を通して
全体的な感想として、AIやコンピューティングの分野における技術巣発展スピードは非常に早いと思いました。
Veoのアップデートの件でも触れましたが、1年前の技術が今年はレガシーになっているような世界です。
こういった新しい技術は、簡単に試せるようなものも多いので、自社サービスや業務フローに取り入れることを検討してみてもよいかもしれません。
終わりに
本イベントでの内容を踏まえて、マイナビでIT職の仕事をしている社員向けにデモを交えた共有会を開いたところ、80名以上の参加がありました!
実際に使ってみたい、自身の業務の中で取り入れてみたい、などの声もいただいた一方で、
業務での活かし方がわからないといった意見もありました。
こういった視察活動を続けていくことで、少しずつAI活用の輪を広げていけるのではないかな、と感じた次第です。
また、来年も4月末に、ラスベガスでCloud Nextを開催するとのことでした。
会場も同じMandalay Bay Convention Centerです。
もし興味を持たれた方は、ぜひ参加してみてください!

※本記事は2025年05月時点の情報です。