AIで生まれた時間を、何に使うか。事業会社のエンジニアとして考えていること
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ビジネスシステムイノベーション第1統括本部 ITソリューション第3統括部 ビジネスシステム部 ビジネスシステム3課のN.Aです。
普段は業務システムの開発・保守運用を行っています。
はじめに
みなさんは、普段の仕事やプライベートで生成AIをどのくらい使っていますか?
私自身、最近では「生成AIを使う」ということをあまり意識しなくなってきました。
・コードを書く
・分からないことを調べる
・要件を整理する
・設計の抜け漏れを確認する
・簡単なモックを作る
・アイディアを考える
仕事を進めるうえで、当たり前の選択肢として生成AIを使うようになっています。
そんな中で、最近よく考えることがあります。
AIによって生まれた時間を、私たちは何に使うのか。
今回は、事業部門で約6年、その後システムエンジニアとして働いてきた経験から、今感じていることを書いてみたいと思います。
生成AIがなかった頃は、とにかく「ググる」
事業部門で働いていた頃から、業務を少しでも楽にしたくて、VBAやGASを使って簡単なツールを作ることがありました。
ただ、当時はエンジニアではありません。
分からないことがあれば、まずはググる。
エラーが出たら検索する。
技術ブログを読む。
試してみる。
動かなければ、またググる。(ググるということばほとんど聞かなくなりました。。。)
数行のコードを書くために、気づけば1時間、2時間経っていることもありました。
それでも、実際に動いたときはうれしかったです。
一方で、
「できそうだけど、ここからどれだけ時間がかかるんだろう」
と思って、途中で諦めたこともありました。

今は生成AIに相談することで、「どう作ればいいのか」を考える時間がかなり短くなりました。
そして、
「自分にはできないかもしれない」が、「できるかもしれない」に変わった。
これは、自分の中ではかなり大きな変化でした。
「できるかどうか」の確認が速くなった
事業部門の担当者と話していると、
「これって、システムでできますか?」
と聞かれることがあります。
システムエンジニアとして、「技術的にはできます」
という言葉を使うこともよくあります。
以前は、この「できるかどうか」を確認するだけでも時間がかかりました。
今は生成AIを使うことで、
・実現方法を調べる
・簡単に試す
・モックを作る
・技術的な選択肢を比較する
といったことが、以前より早くできるようになっています。
その結果、
「技術的にはできそう。でも実際どうなんだろう」
という状態は、以前より減ったと感じています。
ただ、ここで大切なのは、
「できる」=「作るべき」ではない
ということです。
技術的にはできる。
でも、ほとんど使われないかもしれない。
技術的にはできる。
でも、システムを改修するより業務の流れを変えたほうがよいかもしれない。
生成AIによって「できるかどうか」までの距離が短くなったからこそ、その先の、
「本当にやるべきか?」
を考える時間が、より大切になっていると感じています。
モックを早く作れると、会話も早くなる
生成AIによって、簡単なモックやプロトタイプを作る時間も短くなりました。
これは、ユーザーとの認識合わせでも大きな変化だと感じています。
言葉だけで、
「こんな画面が欲しいです」
と話していても、お互いが想像しているものは意外と違います。
そこで早めにモックを作り、
「イメージはこんな感じですか?」
と見てもらう。
すると、
「そうそう、こういう感じです」
となることもあれば、
「実際の業務だと、ここは少し違います」
となることもあります。
でも、早い段階で「違う」と分かることは悪いことではありません。
完成してから大きく直すより、モックの段階で直したほうが圧倒的に早いからです。
さらに、実際の画面を見ることで、ユーザー自身が、
「この機能はいらないかも」
「むしろ、こっちの作業をなくしたい」
と気づくこともあります。

生成AIによって速くなったのは、実装だけではありません。
ユーザーと認識を合わせる。
ズレに気づく。
修正する。
もう一度確認する。
このサイクル自体も速くなったと感じています。
AIに教えてもらって終わりにしない
生成AIを使っていると、自分が知らなかった技術や考え方に触れる機会も増えました。
以前なら自分から検索しなければ出会わなかった知識にも、日々の仕事の中で触れられます。
ただ、自分自身が気をつけたいと思っているのは、
AIから答えをもらって終わりにしないことです。
コードが動いたら、
「なぜ、この書き方で動くんだろう」と考えてみる。
知らない技術が出てきたら、公式ドキュメントや技術記事も読んでみる。
AIによって「動かすまで」の時間が短くなった分、
「なぜそうなるのか」まで学ぶ時間に変えていく。
生成AIを、答えを出すためだけではなく、自分自身の学びを広げるきっかけとしても使っていきたいと思っています。
AIで生まれた時間を、どこに使うのか
ここで最初の問いに戻ります。
AIによって生まれた時間を、何に使うのか。
例えば、
「1時間かかっていた実装が、30分になった」
とします。
残りの30分でもう一つ実装する。
もちろん、それも一つです。
でも、
・ユーザーと話してみる
・実際の業務を見てみる
・モックを早めに見てもらう
・事業やKPIを理解する
・AIから得た知識を深く学ぶ
・本当に解くべき課題を考える
といった使い方もできます。

ここでいう「事業部門の担当者と話す」「実際の業務を見る」というのは、自分の中では結構大切にしていることです。
私が担当している事業部門とは、働いている拠点が異なることもあります。
普段はオンラインで打ち合わせをすることも多いですが、必要に応じて実際に拠点へ足を運び、顔を合わせて話すようにもしています。
もちろん、オンラインでも十分に話せることはたくさんあります。
それでも、実際にその場所へ行ってみると、会議の中だけでは分からなかったことに気づくことがあります。
打ち合わせが終わった後のちょっとした雑談で、
「そういえば、これって毎回ちょっと面倒なんですよね」
という話が出たり。
実際の業務を見ながら、
「ここ、毎回手作業なんですね」
と初めて気づいたり。
そうした何気ない会話から、当初話していた要望とは別の課題が見えてくることもあります。
最初から「課題を聞き出そう」と構えていると出てこない話が、雑談の中でふっと出てくる。
個人的には、そういう瞬間が結構好きです。
そして、その話をそのまま「要望」としてシステムにするのではなく、
なぜ困っているのか。
本当に変えるべきなのはどこなのか。
そもそもシステムで解決するべきなのか。
まで考える。
AIによって「どう作るか」に使う時間を短くできるのであれば、そこで生まれた時間を、こうした現場を知る時間にも使っていきたいと思っています。
AIは、一般的な解決方法や技術的な選択肢をたくさん提示してくれます。
一方で、
なぜこの業務が今の形になっているのか。
事業として何を大切にしているのか。
その先のお客さまに、どんな価値を届けたいのか。
こうした、その会社・事業・現場にしかない文脈は、人と話したり、実際の業務を見たりすることで初めて分かることもあります。
業務システムを担当している私が、直接向き合うのは事業部門の担当者です。
ただ、その先には、マイナビのサービスを利用してくださるお客さまがいます。
事業部門の業務が良くなる。
その結果、より良いサービスや価値をお客さまへ届けられる。
そして、その積み重ねが社会への価値にもつながっていく。
だからこそ、
「このシステムをどう作るか」だけではなく、「この改善の先で、誰にどんな変化を生みたいのか」
まで考えていきたいです。
AIによって、
作る・調べる・まとめる
時間を短くする。
そして、生まれた時間を、
知る・話す・考える・学ぶ
ことに使う。
自分は、そんな働き方をしていきたいと思っています。
おわりに
生成AIによって、できることは確実に増えました。
「できない」と思っていたことが、
「できるかもしれない」
に変わり、実際に、
「できた」
に変わる。
この楽しさは、これからも大切にしていきたいです。
一方で、作ることが速くなるほど、
・何を作るのか
・なぜ作るのか
・その結果、誰がどう良くなるのか
を考えることも、より大切になると思っています。
AIは積極的に使う。
業務の中にも、もっと深く組み込んでいく。
でも、そこで生まれた時間を、また別の作業だけで埋めるのではなく、ユーザーや事業、自分自身の学びにも使う。
以前の他の記事で、私は「現場や事業のことも理解したうえで、使う人にとって本当に意味のある仕組みをつくれる人になりたい」と話しました。
生成AIを当たり前に使うようになった今、その思いは以前より強くなっています。
AIで生まれた時間を、より良い問いと、より良い判断に変えていく。
そして、その判断をお客さまや事業、その先の社会への価値につなげていく。
そんなシステムエンジニアでありたいと思っています。
この記事が、みなさん自身の「AIで生まれた時間を何に使うか」を考えるきっかけになればうれしいです。
※本記事は2026年10月時点の情報です。